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THE BONSAW NEWS
■煩騒沖縄日記8

☆2月12日(木)晴れ☆
沖縄滞在生活もはや、一週間が経ちました。ようやく共同生活にも慣れ始めたと言えるのでしょうか?
いや、むしろ段々メンバー間の(と言うよりもメンバー対入木さんの?)歪みが生じ始めた時期とも言えるでしょう。

アルバイトのない時間というのは、 僕としては正直堪えられないくらいの空気がOLEっち寮内に蔓延しています。もちろん生活サイクルの違いというのは分かってはいましたが、ここまでのギャップは考えられませんでした。そしてこの日の朝9時・・

坂下さん:『あれ?フクちゃん、オレの歯ブラシ知らん?』

僕:『どんなヤツですか?』

坂下さん:『青いヤツなんだけど、誰か間違えてんのかなぁ?』

僕:『僕はフクバデンタルのマイナスイオン歯ブラシ(笑)を使ってますから、見た目は全然違うし、間違える事はありませんよ。』

坂下さん:『まぁいいや。買って来るわ。』

♪〜突然ですが・・♪ 突然話しが逸れて申し訳ありませんが、この「フクバデンタル」について。実は2003年の千葉県流山産業博という所にライブで行った際、この会社の福場社長と対面 しました。と言っても彼は入木さんにわざわざ会いに来て下さったのです。福場社長 と入木さんの出会いはそもそも20年前にも遡ります。(って事は、入木さんがまだ 生まれる前?・・な訳はない!)
入木さんがまだ福岡から仕事を辞めて上京し、『ロックンロールで大金を稼ぐんだ!』とも言わんばかりにがむしゃらにアコギ一本で路上 ライブを続けていた頃、たまたまそれを目撃した福場社長(その当時はまだフクバデンタルを創立する前だった。)が感銘を受け、『君が気に入った!何か奢らせてくれないか?』と声を掛けて来たそうなのです。

入木さんはせいぜい屋台みたいな所で焼き鳥でも奢ってくれるのか?と思ったそうなのですが、福場さんに手を引かれるまま に渋谷から一路銀座線に乗って・・着いた所は銀座の超高級寿司店!福場さんに『何 でも好きなものを頼んでくれ。』と言われたそうなのですが、回らない寿司屋になんて入った事のない彼にとって、『お任せします・・。』と言うより他はなかったそうな。

そして福場さんは『オレはこれから会社を立ち上げようと思ってるんだ。君の歌を聞いて本当に勇気を貰ったよ、ありがとう!!』と固く入木さんの手を握り、アツク語ってくれたそうです。
入木さんも自分の夢をアツク語り、それに答えて福場さんは『大丈夫!君ならきっと出来るよ。オレも自分の会社を大きくするから、君が夢を 叶えた時、また会おう!』と言って連絡先を教えてくれたそうです。

僕はこの話を、僕がボンソウに加入した当時からしつこいくらいに入木さんから聞かされていました。根性のネジ曲がった僕は、『そんな、どっかの酔っ払いが訳の分からない戯言言ってるだけでしょう?会社を立ち上げるって、よく言うんだよね。定年も近付いて何もない自分に焦りを覚えたおじさん達が!』なんて酷い事をよく言ってました。(本当に最低野郎だぁ。)
入木さんは律儀に毎年年賀状は出していたそうですが、電話をする事はありませんでした。

そしてとうとう2003年10月22日に念願のメジャーデビューも決まり、初めて電話をしてその旨を報告すると『おめでとう。君ならきっとやれると思っていたよ・・。』と電話口で声を詰まらせていたそうです。 そして2003年10月6日(日)、流山産業博の当日・・

入木さん:『今日はさぁ、昔から言ってたあの銀座で寿司を奢ってくれた社長が来るんだよね。』

僕:『マジっすか?20年ぶりに?凄ぇ〜!でも会社の名前って何ですか?』

入木さん:『知らね!社長は福場さんって言うんだけどね。』

僕:『福場さん?・・ってひょっとしてフクバデンタルの?』

入木さん:『そうそう、よく知ってるね!歯ブラシとか作ってるって言ってたよ。』

僕:『オレ多分7〜8年前からずっとフクバデンタルの歯ブラシ使ってますよ!!』

入木さん:『マジで?有名なの?でも凄い偶然だよなぁ・・。』

そしてステージも始まろうかという頃、最前列には花束を持ったダンディなおじさまが・・。その目にはうっすら涙も見えます。6曲を演奏し終えて僕が楽器を片付け始めた頃、そのおじさまは入木さんに歩み寄り無言でハグハグ・・・。 その様子を見た僕は、不覚にも涙を流しそうになってしまいました。入木さんも感極 まった様子でありましたが・・。ウソの様な本当の話です!!

実は入木さんって人は、 こういった逸話が結構あるんですよ。ただ、何かが微妙に歯車がずれてて、今の状況の元凶になってる様な気がして残念です・・・。

♪〜と、話は戻って・・♪ コンビニへ歯ブラシを買いに行った坂下さんが部屋に戻り、このOLEっち寮内に蔓延した重い空気を察知してか、こう切り出しました。

坂下さん:『フクちゃんら今日は何か予定とかあんの?オレ今日は一日フリーだからさ、車でどっか行かない?』

僕:『いいっすね!僕ら金もあんまり持ってないモンで、車で何処か連れてってもらえたらありがたいですわ。』

坂下さん:『じゃぁさぁ、みんなが起きてから、昼前くらいに出掛けようよ!』☆という訳で、昼前・・☆
まずはいつもの通り、寝ている二人を起こす事から始めます。
そして坂下さんの提案をメンバーに切り出しますが・・

ヒロシ:『いいっすね!行きましょう!!こんな所に一日中居ても息が詰まるし・・ 。』

入木さん:(一瞬ハナで笑いながら・・)『あのさぁ・・・・。オレ達にそんな事してるヒマがあると思ってんのか?大体おまえらみんな・・・。やめとこ、馬鹿馬鹿しいわ。好きに行って来れば?』

坂下さん:『ミックさんもさぁ、気分転換した方がいいよ。行かないの?』

入木さん:『オレはいいっすよ。やるべき事はいくらでもあるし・・。』

僕:『別に来なくて結構だよ!そこまで言うなら、ちゃんと布団をたたんでからやるべき事をやりゃいいんじゃん?』

などと険悪なムードの中(?)入木さん一人を残し、僕らは出掛ける事にしました。 取りあえず坂下さん愛用のコロン(CK・・別にどうでもいいか・・。)が切れたとの事で、まずは国際通 りに寄ってから・・。 昨日は時間もなかったしじっくりは見て回れなかったので、改めて色々探索します。

 

 

まぁ大体が観光客相手の商売だからそんなにお買得感はないかと思いきや、やはり東京との物価の違いは話になりません。とにかく何でも安い!(東京に比べれば。)お土産品なんかも他の観光地の相場とは全く違い、100円くらいからでも立派に見劣りしない物が手に入ります。(言っておきますが、僕が買ったお土産はそんなに安くはありませんよ!)甘い香りに誘われて、ヒロシは「さーたーあんだぎぃ」(多分ドーナツみたいな物?)を衝動買い。 揚げ立てアツアツで80円、ちょっと高いんじゃない?とは思いましたが、その見た 目から察するよりも重量感はあり腹持ちもよさそう・・

ヒロシ:『うめ〜〜〜!マジ旨いッスよ。福田さんも食べた方がいいですって!!』

僕:『旨そうだけど・・オレあんまり脂っこいもん苦手なんだよな・・。』

しかし僕の興味の対象は、そこかしこのお店(土産物屋さんでさえ!)で売られている三線でありました。音がどうこうと言うよりは、そのヴィジュアルに惹かれていたのではありますが・・。

楽器として考えればさほど値段が高いという訳でもないのですが、その時の僕はあくまで民芸品という観念で見ていました。そう考えて2〜3万 円というのは、やはり財布のひもを緩める訳には行きません。今考えるとあそこで買わなくてよかったのかも?

そして国際通りと言えば「牧志公設市場」、那覇の台所と呼ばれる所であります。本当に南国らしい、熱帯魚の様な海産物が至る所に並びます。



市場内にはたくさんの鮮魚店や乾物屋(?)が並び、僕ら観光客相手に営業合戦を繰り広げます。
ここでたくさんの名刺を頂いちゃいました。この市場のニ階には食堂があり、ここで買った食材を持ち込めば一人分500円で調理してくれるそうなのですが・・・。

やはり僕らは貧乏旅行なので、そんな贅沢をする訳には行きません。10月に沖縄に行った時も絶対に行くつもりだったのですが、その時は台風直撃で予定を大幅に変更したため、それは叶いませんでした。でもいつかは行くぞ!!

☆日本最南端の風景☆
思ったよりも長居してしまった国際通りではありましたが、さてこれから何処へ行こ う・・・?時間は既に1時を回っています。あまり遠くへ出掛ける時間でもないし、 やはり沖縄と言えば・・

坂下さん:『じゃぁさぁ、オレのオススメスポットへ行こうよ。凄く景色はいいよ!』

僕:『何処も分からないのでお任せします。』

そしてOLEっち号は国際通りを後にし、坂下さんの言うオススメスポットを目指しますが、一体ここはどこなんだ?というくらいの裏道を縫って行きます。

ヒロシ:『一体これは何処を走ってんですか?めちゃめちゃ裏道じゃないですか。もう完璧に坂下さん「うちなー(沖縄の人)」ですね。顔も濃いし・・。』

坂下さん:『やかましい!顔が濃いのは生まれつきだよ。こう見えても埼玉 出身だ。』

車が向かっているのは「あしびなー」方面であるようですが、瀬長島を経由してもう少し静かな所へ・・。「糸満市」の表示を過ぎて、ドンドン細い道へ入って行きます。 殆ど農家のトラクターくらいしか通らないんじゃないの?というようなあぜ道でも、 ドンドン車は行きます。ここまで来ればもはやジモティー・・。周りは殆どさとうきびが生い茂る様な道を、くねくねと曲がりくねってひたすら走って行くと、突然視界が開けました。
民家も近くには全くなく、当然街灯なんかもありません。目の前には 白い砂浜と水平線・・。

坂下さん:『ここはホントに穴場なんだよね。夏でも殆ど人が来ないし、景色は最高 でしょ?ここでバーベキューやるとまた最高なんだよ!殆どプライベートビーチみたいなもんだよね。』

ヒロシ:『おお〜!やっぱり波の上ビーチとは違って本物の海ですねぇ。綺麗だァ!』

僕:『そうですね。今何時なんだろ?時間の流れが止まってる様に感じますよね。波の音しか聞こえないし・・。』

本当にこれほどまでの静寂を、僕の人生の中でどれだけ感じる機会があるのだろう? もちろんそこには喧騒もなければ、気持ちを急かせる様な物は何もありません。ただ微かに聞こえるのは波の音と、僕の背中越しに聞こえるさとうきび畑の風にざわめく音だけなのです。

そう、あの歌の様に・・「ざわわ、ざわわ・・」と。

 

 

坂下さん:『せっかくここまで来たんだからさ、今から日本の最南端に連れてってやるよ。』 そして再び僕らは車に乗り込み、さとうきび畑の中を通り過ぎて行きます。カーラジオからスローバラード・・いや、コミュニティーFMなのか?100%うちなーぐち (沖縄ことば)の放送が流れています。正直言葉の意味は全く分からないのですが、 周りにはさとうきび畑という状況下、何故か涙が出そうなくらい胸が一杯になりました。

車の中に吹き込んで来る冷たい風を感じながら、ラジオから流れて来る三線の音色にすっかり魅了されてしまったのです。

考えてみれば戦争中はこの辺りは悲惨な状況だった訳で、不思議と突然そういった事が脳裏を過り、思わず涙が流れてしまいました。
考え過ぎかも知れませんが、この辺りで命を落とした人達の無念の思いが、この辺りには漂っているのかも知れません。とは言っても決してネガティブなエネルギーという意味ではなく、平和を願う強い思いと言うか・・上手くは言えませんが、平和 の大切さを誰かに凄い説得力で説かれた様な不思議な体験でありました。

そして車は 必然的と言うか、あの場所へ・・・

坂下さん:『ほら〜、ここだよ。日本最南端の地だぜ。素晴らしい眺めだろ?』

ヒロシ:『お〜、すげぇ〜〜!メチャメチャ絶壁じゃないですか・・。』

僕:『うお〜〜!絶景だけど・・・メチャメチャ重い〜!!』

日本最南端の地と言えばそう、喜屋武岬であります。そこには慰霊碑もあります。第 二次大戦末期、アメリカ軍に追い詰められたくさんの人達が飛び降りた場所でもあります。僕もこの絶壁に立ってみましたが、本当に足が竦んでしまいます。(と言うより本当に危ない!特別 な柵もなければ、誰でも絶壁に立つ事が出来ます。) ここから飛び降りる事しか選択の余地がなかった人達の心理状態は、一体どんなもの だったのだろう?今の僕達にとっては素晴らしい絶景に見えますが、ここから飛び降 りた人達にとっては全く違う景色が見えていた事でしょう。

もちろん馬鹿騒ぎする様な不謹慎な事はしませんが、この絶景を感じる事ができる今の平和に有り難みを感じずにはいれません。

こんな事を書いて偽善だと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、行ってみれば恐らく分かるでしょう。そういう事を感じてしまう様な空気があるんですよ・・あそこは。

☆そして平和祈念公園・・☆
ここまで来たからには「琉球ガラス村」「ひめゆりの塔」にも行くべきでありますが、 もうすでに時間は午後3時。ルート的に考えても引き返す形になるので、平和祈念公園へ行く事にしました。
まぁ沖縄滞在はまだ時間がある訳だし、(不思議とこの時は、 一ヶ月の沖縄滞在を確信していました。)またの機会にでもという気持ちでありました。
そして辿り着きました。

ひょっとして不謹慎な言い方かも知れませんが、沖縄らしいという言い方も出来る様々な建造物のデザインにも目が釘付けになりました。
もちろん世界に対して平和の大切さ、戦争の悲惨さを訴えるための施設(?)である訳ですが、
何と言うか、全ての建造物、モニュメントのデザインのあり方に必然性を感じるのです。言い方を変えれば、遠い昔にここに来た事があるかの様な(?)デジャヴに近い感覚と申しますか・・。

そして今、喜屋武岬から平和祈念公園に辿り着いた事も、必然であったかの様な・・とそこまで言えば考え過ぎではありますね。

でもここへ来ると『日本の最南端で平和を叫ぶ!』という様な気分に、いや、使命感に苛まれる気がします。『自分達に出来る事はどんな事だろう?自分達は東京で平和ぼけし ながら、世の為にもならない事をしていていいのだろうか?』という意味で自己嫌悪 に陥ります。

まぁ実際に何が出来る訳ではないのですが、そういう事を考えるだけで も意味がある事なのかも知れません。
それ以上の事を言い出してしまうと、それこそ偽善になってしまいますからね。

そして我々3人は、色々考えさせられたという様な 神妙な面 持ちで、平和祈念公園を後にしたのでありました・・。

☆そしてOLEっち寮に・・☆
色んな意味で衝撃的な観光(?)でありました。本当に今まで、自分達は下らない事 で一喜一憂していたなぁ・・なんて反省も込めてか(?)、帰りの車内はみんなが無 口でありました。それぞれに考える所はあったのでしょう。

それと同時に、自分達にやれる事は悔いなくやろう!という決意も新たに気持ちをリセットしました。

そして OLEっち寮の到着!玄関を開けると・・・

入木さん:『おお、お帰り・・。』

僕:『いやぁ〜、日本の最南端に行って来たよ!沖縄って素晴らしい所だね。入木さんも行けばヨカッタのに。』

やはりと言うか、敷きっ放しの布団に食べ散らかしたスーパーの弁当・・・。とても 今日の物とは思えないスポーツ新聞・・。この状況で入木さんは果たして『やるべき事はいくらでもある・・』をやっていたとでも言うのでしょうか? 

あ・・いやいや、 つまらない事で腹を立てるのはやめにしましょう。いやでもそれにしても汚い・・。 万年床と化した布団の上で横になりながら・・ん? 入木さんがくわえているのは・・ 青い歯ブラシ?  えっ?何?振り返ると・・

坂下さん:(僕の袖を引っ張りながらヒソヒソと・・)『フクちゃん!もういいよ。 入木さんには言わんでも・・放っとこ・・。もうオレは自分の歯ブラシは隠しておくよ。』

 

 

平成16年12月4日 福田悦隆

Produced by dmix