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☆2月17日(火)スタジオリハ☆
そしてヒロシのいないまま、今日はスタジオリハでありました。
もちろん「Go!Go!ゴーヤーチャンプルー」一曲をひたすら煮詰めるつもりであった訳ですが、やはり肝腎要のベースがいないとイマイチ締まりません。それでも取りあえずはスタジオ予約をした訳ですから、おさらいがてら曲を通
します。

てっちゃんのカウントが入り、 イントロ・・と、ここまでは良かったのですが・・・
入木さん:『♪ゴーヤを切ったらぁ〜・・♪』
僕:『ちょちょちょちょちょ・・・ちょっと待てぇ〜〜〜!!!!!』
てっちゃん:『ん?どないしてん?』
僕:『全然メロディー変わっとるやんけ!!何ャそれ?』
入木さん:『い〜や。全然変えてないよ!フクちゃんの気のせいだよ。』
てっちゃん:『ほなミック、アカペラで歌ってみいや・・。』
入木さん:『♪ゴーヤを切ったらぁ〜・・♪』
てっちゃん:『ハハハハ・・(大爆笑)全然ちゃうやろ?それ・・・。』
僕:『って言うか、また更にさっきと違う気がするんですけど・・・(汗;』
入木さん:『え〜?そんな訳ね〜じゃん!!じゃぁどんなメロディだったって言うんだよ!!』
という訳で、僕が記憶を頼りにギターでメロディを探して入木さんに聞かせますが・・
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入木さん:『そんなダサイメロディじゃないよ!!!それこそ全然違うだろ?』
てっちゃん:『いやいや、そんな感じよ。さっき歌ったメロより100倍ええやろ?』
入木さん:『え〜〜〜〜〜〜〜〜!、そんな・・・おかしいよ!イメージが違うんだけどなぁ・・。』
と言って、入木さんは腕組みをして眉間にシワを寄せ、口をとんがらせ首をかしげながら黙ってしまいました。
何やら物凄く僕らの発言に関して不満な様子であります。
てっちゃん:『黙ってそんな事してても時間のムダやろが?とっとと練習しようぜ!』
入木さん:『じゃぁどういうメロディで歌えばいいんだよ?』
てっちゃん:『さっきギターで弾いた様な感じで歌えばええんちゃうん?』
入木さん:『何か違うんだけどなぁ・・。』
てっちゃん:『もうええわ!好きな様に歌え!!』
てっちゃんも僕も呆れながら、取りあえずバックの音を固めるつもりで反復練習を繰り返します。
やはりベースがいないとかなり勝手は違いますが、段々掴めて来た様に
感じます。その間にも入木さんの歌うメロディは毎回変わって行きます。この成り行きに任せていたら一体何処へ辿り着くのだろうか・・・?不安だ・・。
やはりベースもいない状態で何度も繰り返していても、段々てっちゃんも僕も飽きて来てしまいます。
しかしその頃になってようやく、入木さんのメロディは一周回って来た(?)感じで僕らの思う正しいメロディに戻って来ました。
僕:『入木さん!それですよ!!そのメロですって!!!』
入木さん:『だから・・・(呆れた様にハナで笑いながら)オレは最初からこういう
風に歌ってんじゃんか!』
てっちゃん:『ハイハイ・・(ジ○ーちゃんレベルやもんな・・=てっちゃんの心の声?=想像)』
因みに入木さんは『貧乏たっぷり・・』のレコーディングで『のら猫』を録っていた時、シングル判の『のら猫』と違うメロディを歌っていた事に気付いていませんでした。と言うか、毎回ライブ毎にメロディは全然変わってしまってるんですけどね・・・
。
そして流石に本当に飽きて来てしまいました。そう言えば3月3日のライブに向けての練習もしなければなりませんが、まだセットリストも決まってません。てっちゃんがどの程度『貧乏たっぷり・・』を聞いてくれていたのかも・・。
僕はその時、何気なく『アルバイト』のイントロを弾き始めました。するとてっちゃんはついて来てくれました。ちゃんと聞いてくれていた様です。
入木さんも慌てて歌い出しました。流石のてっちゃん!あまり心配もなさそうです。取りあえず最後まで演奏を終えて・・・
入木さん:『てっちゃんこの曲覚えてくれてたんだ。』
てっちゃん:『この曲はええ曲やね。オレは好きよ。』
僕:『イントロのギターがパクりやって言われた事あるけどな・・。』
てっちゃん:『おぉ、もろシンディ・ローパーやな!!』
僕:『パクりちゃうねんけど・・似てるわな。』
結局みんなあまり乗り気にもなれず、練習は早めに切り上げる事にしました。まだまだ時間も早いのですが・・僕らは会計をするために、マスターのいる2階の喫茶室の方へ行きました。
マスター:『あれ?まだ早いけどもういいんですか?』
てっちゃん:『えぇ、やっぱりヒロシも居てへんし、もう飽きました(笑)。』
マスター:『じゃぁ、コーヒーでも入れるね。』
入木さん:『いえいえそんな、お構いなく!!』
マスター:『あっ、そっかぁ〜!てっちゃんとミックさんは泡盛の方がいいよね?』
てっちゃん:『あっ、いや・・あ・・ぁ・・ハイ(笑)』
という訳でまだ7時にもなっていないというのに、早々に軽めの宴が始まろうとしていました。お店の営業は大丈夫なんでしょうか?そこへ7時からスタジオ予約していたバンドの人達が現れました。
マスター:『あっ、もうスタジオ空いてるからね、入ってていいよ!』
まだ高校生(?)という感じの女の子でありました。入木さんはサッと立ち上がり、
バンドのチラシを手渡します。恒例の様に・・
入木さん:『「学校へ行こう!」っていうテレビ番組見た事ある?』
女の子:『えぇ、見てましたけど・・・。』
入木さん:『「癒し系ミュージシャン」のコーナーに出てたミック入来って分かる?』
女の子:『いやぁ・・・・分からないです。すみません。』
入木さん:『オレもあの番組に出てたんだけどね。』
女の子:『へぇ〜、そうなんですか。(全く無感動)』
何だか尽く会話が噛み合わない様ですが、この女の子はミック入来を知らないという事を頻りに申し訳なさそうにしていました。入木さんとしてはもっと『え〜ウソ〜ミック?』なんてリアクションを期待していたのでしょうが、誰もがそんな事に食いついて来る訳ではありません。
まぁ入木さんがどういう意識を持っているのかは分かりませんが、テレビを見ていた人にとっては、タレントというよりは普通
の素人という認 識を持っている人が殆どの筈であります。
そしてそうこうしている内に彼女達のバンドのメンバーも揃った様です。そのメンバー
各人にも入木さんはチラシを渡しますが、残念ながら誰もミック入来を知りませんでした。まぁそんな事もあるさ!入木さんをフォローする訳ではありませんが、一週間
前にヒロシ、僕、入木さんの3人で国際通りでナンパ(と言うかOLEっちの客集めのために女の子に声を掛け捲った時)した時は、結構な確率で良いリアクションだっ
たんですけどね・・。
しかしこんな事で凹む様な入木さんではありません(笑)。OLEっちの事を説明し、「あしびなー」に来てくれる様に熱心に頼んでいます。という訳で、この場で入木さんは3人のメルアドをゲット!沖縄の少女たちよ、もう少し警戒した方がいいぞ(笑)!
彼女達がスタジオに入り、僕らの宴は続いて行きます。するとそこへ来客が・・・。
来客(マスターの先輩):『おぉー!一芳くん!また飲んでるね!』
マスター:『あっ、どもども。先輩!』
この方はマスターのサラリーマン時代の先輩だそうで、(名前は・・喉元まででかかってるのですが、今出て来ません。失礼致しました。)ダンディーな感じの60代のおじさまであります。何だかイイ感じの、良い意味でスケベな(意味不明?)、僕もこんなおじさまになりたいと思える人ですね。会話が上手で(話題豊富という意味のみならず)声のトーン、抑揚の付け方、そしてさり気なく下ネタを挟み込むテクニック、
思わず話に引き込まれてしまいます。う〜ん、百戦錬磨のツワモノですね。いつの間
にかこのマスターの先輩の方を中心に、宴は進行して行きます。そこで僕は唐突に素
朴な疑問が・・・。
僕:『○○さん、マスターのサラリーマン時代の先輩なんですよね?マスターの事を苗字で呼ばずに下の名前で呼ぶのは何故なんですか?』
マスターの先輩:『昔っから苗字で呼んだ事なんてないよ。だって、山城くんって呼んだらそこのフロアで4人くらい返事するだろ?沖縄って大城とか金城とか知念とか、
同じ名前が多いからね。』
僕:『えっ、じゃぁ女の子に対しても下の名前で呼ぶんですか?』
マスターの先輩:『もちろんそうだよ。どうして?おかしいかねぇ?』
僕:『いや、東京じゃ会社で部下の女の子を下の名前で呼んだりしたら、セクハラなんて言われかねないですよ。』
マスターの先輩:『へぇ〜、そういうもんかねぇ?心が狭いねぇ。』
まぁどうでもいい事かも知れませんが、僕には凄く新鮮に思えたのです。
確かに沖縄では地元の人に名前を聞くと、大城、金城、玉
城、新城など、同じ名前が多かった様に感じました。考えてみれば会社で一つのフロアに20人くらいいたとして、全員が
違う名前なんて確率の方が圧倒的に少ないかも知れませんね。
マスターの先輩:『そう言えば君たち、一ヶ月も沖縄に滞在して稼ぎは大丈夫なの?
何だったらアルバイト紹介しようか?』
マスター:『そうそう、○○さんはねぇ、ただのスケベなオヤジに見えるかも知れないけど(爆笑)、「かねひで」のエライさんなんだよ。』
てっちゃん:『マジッすか?ホンマに「かねひで」さんには毎日お世話になってますわ。』
入木さん:『いやぁ〜ホントに。オレらの貧乏生活には救いの神ですよ!!』
僕:『バイトって、因みに・・。』
マスターの先輩:『倉庫管理とか色々あるけど、まぁ(時給)650円以上は出せると思うよ!』
僕:『あっ、・・そうですか。でもやっぱり毎日となるとなぁ・・。』
時給650円と言えば東京では今や高校生でも首を縦に振らない額かも知れませんが、
沖縄では結構な高額バイトとも言えます。こちらの感覚では丁度倍額くらいかも知れません。
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かなり良心的なお誘いとも言える訳ですが、僕らとしては東京の感覚で考えてしまい、やはりそれを受ける気にはなれませんでした。
もちろんせっかくの御好意であった訳ですが・・・。遠回しに断ってしまいました。
本当はアルバイトをやっていればもっと楽しい事もあったのでしょうね。もちろんそんな事をしていたら音楽をやってるヒマなんてなくなりますが・・。
そうそう、「かねひで」です。僕らの沖縄滞在生活を語る上で、『やんばる食堂』とこの『かねひで』は絶対的に外せない存在であります。
「かねひで」は沖縄全域に展開するスーパーのチェーンで、東京では考えられないくらいのリーズナブルプライスで買い物ができます。
とにかくここで売っているお弁当が美味しくて、しかも夜8時くらいに行けばもう半額くらいにまで値段が下がっているのです。そしてお惣菜も冗
談としか思えないくらいのボリュームで、値段も安くて美味しいのです。恐らくお惣
菜、お弁当等、500円分くらい買っても、普通の人では食べ切らないのではないで
しょうか?(因みに坂下さんはいつもここの弁当を二つ買って来て、事も無げに平らげてましたが・・。)もちろんお弁当、お惣菜のみならず、他の生活雑貨などでもとにかく安い!詳しい事はまた別
の機会にでも書いて行こうと思います。
という訳でこの後も宴は続き、楽しい時間を過ごさせて頂きました。
お酒を全く飲めない僕でありますが、本当に話が面白くて、ついつい時間を忘れてしまいました。
まぁ 入木さんはいつもの様に、時折船を漕いだりしながらではありましたが、笑いの絶えない約4時間以上にも及ぶ宴でありました。
それにしてもマスター、今回もお金(飲み代)は受け取りませんでした。結構高級な泡盛のボトルも空いたし、たくさんの料
理も御馳走してくれました。本当にこんなに甘えていていいのでしょうか・・?
☆2月18日(水)『ちくてん松尾店』☆
沖縄に来てはや13日、既に気分は中だるみ状態と申しますか・・・今週の頭くらいからは、ただお金のない休日がダラダラと続いている様な、辛い状況の様な気がします。
本当は行きたい所はたくさんあります。ただしかし、お金がない!ヒッチハイク
しながら気の向くままに何処へでも・・なんて憧れはしますが、僕自身そんな度胸もなければ、実際には一人で勝手にそんな単独行動も許されないでしょう。やっぱり沖
縄で生活するには足が必要であります。せめて電車等でもあれば行動範囲も広がるというものですが、本当は電車がない所が沖縄のいい所なのかも知れません。
前にも言いました『沖縄タイム(時間)』というのは、電車など時間の軸がハッキリしていなければならない物がない所から生まれたのではないかという気がします。
時間に縛られない=大らかな県民性、まぁこれは良い所でもあり、悪い所でもあるのかも知れませんが・・・。
とまぁ前置きが長くなってしまいましたが、この日もダラダラとしている内にはやお
昼過ぎであります。お世辞にも『音楽製作の為に魂を削って・・』なんて言えるくらいの気合いを込めて臨んでいたとは言えません。
考えてみればこの沖縄生活の時間の 半分は、こうしたヒマな時間との闘い(?)であった様な気がします。とにかくこの狭い空間の中で、これ以上入木さんと一緒にいたくない!(爆弾発言?)と思っていると・・
てっちゃん:『フクちゃん、またちょっと国際通
り行ってみん?』
僕:『おぉ、そうやね。もうこんな所におっても息が詰まるしな。』
という訳で、何気なく僕は出掛けて行ったのでありますが、本当に今回で何日連続で
国際通りへ行ったのでしょうか?最初はえらく遠く感じた道のりでありましたが、慣れてしまえば勝手知ったるもので、いつの間にかかなり時間を短縮出来る様な近道をも体得していました。
最初の頃は30分近く掛かった国際通りまでの道筋も、今や15分弱であります。
取りあえず今まで行った事のない所を探索しますが、やはりそこかしこの土産物屋さんに三線が並んでいます。そういったお店を見る度に僕は足を止めていましたが、大
体何処でも2〜3万円前後が相場な様でした。 大体何処のお店でも・・
店員さん:『兄さんら観光客ね?三味線(因みにうちなんちゅの間では、三線の事を
三味線と呼ぶのが一般的な様だ。)探してるの?』
僕:『えぇ、そうですね。出来れば安い物の方がいいんですけどね。』
店員さん:『初めてよね?だったらここにある3万円のやつがオススメですよ。』
僕:『別の店では2万円でありましたけど・・。』
店員さん:『これはそんな所で売ってる様なまがい物じゃぁないですよ!』
という感じのやり取りがありました。『そんな所で売ってる様な・・』ってどういう
意味なんでしょうか?自分の所は『そんな所・・』ではないとでも言うのでしょうか?
もちろん土産物のお店で売っている物が全てダメだとは言いませんが、やはり土産物
屋さんで3万円払うには少々勇気がいります。もちろん本物の三線である訳だし、民
芸品、土産物として考えればそれを買って行く観光客も多い事は理解出来ます。
ただしかし、僕は一応ミュージシャンの端くれでもあるというプライドもあります。
どうせ買うなら楽器としても優秀だと思える物が欲しいのです。
てっちゃん:『フクちゃんマジで三線買いたいって思ってるの?』
僕:『そやね。3万円くらいでええのんがあんねんたら、銀行で金を下ろして来よか
なと・・。』
てっちゃん:『それやったらええ店があるよ!そこ行こうや。』
という訳で僕らがやって来たのは、以前ギターの弦を買った『高良レコード』の琉球楽器専門店である、『ちくてん松尾店』というお店であります。
てっちゃんは昨日ここであの三線のCDを買ったそうで、店員さんと色々話し込んで仲良くなっていた様
です。 『いらっしゃいませ〜』と満面の笑みで挨拶をしてくれたのは、このお姉さんであります。

(やべ!また名前忘れちゃった・・。)中々きれいなお姉さま(と言っても僕らよりずっと年下なのは明らかですが・・)ですね。
てっちゃんがここに僕を連れて来たかった理由が分かりました(笑)。
てっちゃん:『どうも〜!うちのギター連れて来たよ。三線に興味があんねんて!』
僕:『いや〜、流石に土産物屋で売っている物とは違いますね。楽器からオーラが出てますよ・・。』
お姉さん:『宜しかったら今三線無料体験コーナーをやってますんで、どうですか?」
僕:『マジッすか?じゃぁせっかくだからお願いします。(お姉さんきれいだし・・
=僕の心の声)』
お姉さん:『あなたも・・。』
てっちゃん:『え?オレも・・まぁせっかくやしな。』
そしてこのプリントを渡され、早速レクチャーの開始であります。

弦の張り方からチ ューニング方法まで、実技に入る前にも基本的な操作方法を教えて頂きました。
何と言うかこの楽器のプリミティブな構造やその響き、僕は急速にこの楽器の魅力に引き込まれて行きました。弦一本張るのにも、悪く言えば非常に面
倒臭いのですが、何でもかんでも便利な方に安易に仕様変更をしないで、頑にスタイルを変えないで何百年もの間に渡って受け継がれて来た事に、僕は凄いロマンを感じてしまいました。
この楽器の基本的な構造は、バンジョーと非常によく似ています。言い方を変えれば、三
線という楽器を便利な方向にひたすら仕様変更を行えば、行き着く所はバンジョーに
なるのかも知れません。
そう言えば最近では三線にも『ペグ三線』(ペグ=所謂ギター
のペグと同じ様に、ギアが付いていてチューニングが容易になる。)というものも存在するそうですが、保守的な僕としてはあまり意義を感じません。
そしていよいよ実技に入ります。まず構え方でありますが、非常に違和感を感じました。まぁお姉さんは手取り足取り教えてくれるのですが・・・
お姉さん:『左手は(弦を押さえる方)脇を閉めて、丁度小さく前ならえの格好で・・
』
僕:『何か肩こりそうですね・・。』
てっちゃん:『ん?こうかな・・。』
お姉さん:『それから胴の部分はお腹から約10cmくらい離して、右手の手首で太ももに押し付ける様な感じで・・。そうそう、慣れれば右手の手首だけで胴を安定さ
せられるようになりますから、頑張って下さい。』
この文章で伝わるのでしょうか?三線は座って弾くのが基本姿勢なのですが、(立ってストラップに吊って弾いている人も見掛けますが、胴の裏の皮をミュートしてしまうため、音質的には宜しくないです。)胴と自分の腹の部分に隙間を作って固定する
のは意外と面倒臭いです。ん?でも考えてみればこの胴の裏にも皮が貼ってあります
が、ひょっとしてこれはない方が音が良いんじゃないの?
店長の吉川さん:『いやいや、そういうモンでもないんですよ。まぁピックアップを付けて(要はエレアコ化する)使うのであれば別
になくてもいいんですが、ドラムでも打面の反対側のヘッド(皮)を外すと音は変わりますよね?でも大抵の場合、やっぱり外して使う人は少ないですよね?それと同じですよ。確かにない方が音量
は上がるかも知れませんが、音質の善し悪しとは別なんですよ。』
てっちゃん:『あっ、なるほどね・・。』
僕はドラマーではないので今イチピンと来なかったのですが、そういうもんなんですかねぇ?
そしてこのプリントにもある様に、『チューリップ』を演奏します。これが三線の譜
面にあたる『工工四=クンクンシー』といわれる物です。五線譜と違ってかなりアバ
ウトな感じがしませんか?リズムに関して正確に表記する術がないとも言えますが・・
・。
やはり日本人のルーツミュージックには、リズムという概念は明確ではないのかも知れません。
音楽の三大要素は『リズム』『メロディー』『ハーモニー』という風
に中学生の時に習いましたが、これを日本語に訳すと『旋律』『和音』それから・・・
『リズム』っていう言葉を正確に表した日本語って存在するのでしょうか?
強引に言えば『周期』・・でもないかなぁ。
とにかく日本の音楽では元々リズムという概念を軽視して来たと言えるのではないでしょうか?しかし良い方に考えれば、音楽を紙に書いて表現する事に大した意義を考えなかったと言えるかも知れませんね。
実際八重山民謡などでは、リズムが大変重要な物も多いのです。
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そんな物でもこのような『工工四』で表記されます。あくまでこれだけで伝えるというのではなくて、一つの目安に過ぎないのでしょうね。
お姉さん:『さんハイ、♪〜さいた〜さいた〜♪』
てっちゃん:『あ〜ちょ、ちょちょちょ・・ちょっと待った。分からん!!』
お姉さん:『あぁ、でもやっぱりギターやってる人の方が飲み込みは早いんですね。
さすが!』
てっちゃん:『大体音程のある楽器なんて男らしくないっちゅうねん!!むつかしい
わぁ・・。』
さすがのてっちゃんもかなり苦戦していました。僕としては凄く新鮮な発見でありま
したが、やっぱりこういう弦楽器をやった事のない人にとっては、左手の運指よりも右手のピッキングの方が大変なんですね。押さえた弦と弾くべき弦を一致させるのがかなり難しい様です。
とは言えこんな事を言っている僕ですが、この『工工四』を見て初見で演奏している訳ではありません。やはり長年ギターをやって来た訳で、何故か同じ弦楽器だからなのか、自分の欲しい音が何処を押さえれば出るのかが何となく感覚で分かってしまうのです。
もちろん曲のスピードが遅いからそれでも間に合う訳なのですが・・。
てっちゃんが悪戦苦闘している中、僕は簡単に『チューリップ』を弾いてしまいました。しかしお姉さんは気付いた様で・・
お姉さん:『耳を頼りにやってたら上達しないですよ!ちゃんと「工工四」を見なが
らやって下さい!』
僕:『は〜〜〜い!』
こんな事をしてるから本当に楽器が上達しないんですね・・。確かに。ギターに関しても基礎的な事は一切すっ飛ばして、いきなりオリジナル曲を作ってギターアレンジを考えたりしてましたからね。だから未だにマトモにギターも弾けない訳ですが・・。
悪戦苦闘するてっちゃんを尻目に、退屈になった僕は好き勝手に三線を弾いています。
なんて集中力のない、嫌な生徒(?)だろうか・・。教わる姿勢という物がなってな
いですね(苦笑)。
約1時間以上にも及ぶレクチャーでありましたが、確かに真面
目にやっていれば何となく三線の何たるかが分かる様な、懇切丁寧な教え方であったかの様に感じます。
そして店内に陳列されてある三線を見渡します。安い物では3万円から、高い物では30万円くらいの物までありました。いつの間にか買う気が満々になっていた僕は・・・
僕:『この3万円のやつ見せてもらえます?』
吉川さん(店長):『この安いやつでいいんですか?』
僕:『まぁ、今現金で用意出来る予算がこの辺が限界なんですよ。3万円のやつじゃやっぱり楽器として問題ありますか?』
吉川さん:『いえいえ、ウチは土産物屋じゃないですから、県内産の楽器として使える物しか扱ってませんからね。その辺は安心して下さい。』
と言って『ちんだみ=チューニング』をして僕に渡してくれます。気持ちさっきの無料体験の三線とは音が違う様な・・・
吉川さん:『これでも充分悪くはないでしょ?』
僕:『善し悪しは良くは分かりませんけど・・さっきのやつと随分音が違いますね。』
吉川さん:『そうですね。まぁ職人さんの好みの音に仕上がったりしてますよね。だから形も微妙に違うし、高い安いではなくて好みにあった音って人それぞれだと思うんですよ。』
僕:『なるほどね。一本弾いてみただけでは分からないですよね。』
吉川さん:『じゃぁせっかくだから、店にあるやつ全部弾いて比べてみますか・・。』
うっ、ヤバい!この僕今や『鴨ネギ』状態・・。そう言えば昔どうしてもレスポール
(ギブソン=ギター)が欲しくなった時、ある楽器屋さんに行きました。そこは専務が知り合いだったためにいつも破格値で楽器を買っていたのですが、その日もいつもの様にVIP待遇。(と言うより店側からすれば正に『鴨ネギ』状態?)頼みもしないのに店内にあった約30本ものレスポールをスタンバイして頂き、結局は60万円
もの買い物をしてしまった事があります。やっぱり良い物を知ってしまえば不幸の始まり、明らかにクオリティの落ちる物には興味はなくなってしまうのです。(僕だけ?
)
しかし何本か試してみましたが、確かにクオリティーの高いとかそういう問題ではなくて、一本一本の個性が非常にハッキリしています。これも値段にかかわらず、製作者の個性なのでしょう。
僕:『本当に一本一本違いますね。形も音も・・。何だかどれとどれが同じ職人さんの作品なのかまで分かる様な気がしますよ。』
吉川さん:『そうですね。三線に詳しい人であれば、「これは誰某の作品だ!」とまで言い当てますよ。』
僕:『それからやっぱり本皮(ビルマニシキヘビ)の方が絶対に音が良いと思ってましたけど、人口皮でも全然遜色はないですね。もちろん別
物ではありますけど。』
吉川さん:『三線の値段はやっぱり棹で決まるんですよ。実際全く同じクオリティー
の棹で、皮が本皮か人工皮であるかでも値段ってそんなに変わらないんですね。』
三線の常識という事で言えば、中でも『八重山黒木(ヤエヤマクルチ)』の物が最高
級とされています。中でも木の芯材に近い物であれば真っ黒な物も存在し、そういっ
た物では棹だけでも30万円以上する物もある様です。ただ『八重山黒木』が最高級
とされる理由に関して、稀少価値以外の理由はあるのでしょうか?『黒木』というの
は『黒檀=エボニー』であります。ギターの世界ではエボニーは一般的な素材ではありますが、もちろん『八重山黒木』を使われる事はありません。僕がこの店内にある
約30本の三線を弾き比べて、もちろん『八重山黒木』の物もありましたが、特にそ
れがよかったという様な印象はありません。
確かに棹の材質による音質の違いは理解 出来ましたが、正直にいえば『黒木』の物はあまり僕の好みではありませんでした。
弾き比べに際して、低価格な物から順に弾いて行ったのですが、意外な事に高いもの
の方が良いという印象は全くありませんでした。やっぱりギターとは勝手が違いますね。
ギターであれば3万円と30万円の物では本当に見た目のみならず、ギターを弾
いた事のない人でも間違いなく30万円の物の方が良いという判断を下すでしょう。
ただここの店に並んでいる三線は全て、本当に丁寧に作られているのが良く分かります。
それにもう一つ、僕がここの店で三線に魅せられた理由があります。全て沖縄県産品
にこだわっているという事です。
最近では大量生産のあまり、低価格帯の物では海外 生産に切り替える工房も出て来たとか。僕もその海外生産品を一度触らせてもらった
事はありますが、実際には本当に良く出来ていました。価格もやはりリーズナブルだし、楽器としても申し分ない訳で、三線人口の間口を広げる事には多大なる貢献をしていると思います。
工房側も本当に責任を持って厳しい品質管理をされているのでしょうが、本当にそれで良いのでしょうか?
逆に海外生産品でもかなりのクオリティーで あるがゆえに、僕としては危機感を感じるのです。
今や『日本製品は品質が良い!』なんていう考えは、妄想に過ぎないのではないでしょうか?
国内の大手楽器メーカーなどは、一部の高級機種を除いて今では殆どが海外生産に切り替えられています。ただ日本製は高級品というランク付けにはなってはいますが、実際には低価格帯の海外生産品の方が作りがよく出来ているという現象も起き
ています。
今や日本製のギターなんて、材質は良くても作りは酷い物が多いのです。
これは80年代の後期から徐々に生産拠点を海外に移して行ったが為に、国内の職人の仕事が減り、更には新しい職人が育たない土壌を作ってしまったからに他なりません。利益を優先するが故に海外生産に切り替え、結局は海外の工場にお金を払って技
術力を提供して来た事になります。
これは楽器のみならず、衣料でも電化製品でも同じ事ですね。何だか愚痴ってしまいましたが・・。
そして僕にとっての運命の一本も見つかりました。一番音が太くて棹が太いものを選んだのですが、結果
的には音質的にも一番しっくり来る物であります。お値段は9万 円也・・・。まぁ詳しい事はギターコレクションの項目に書いてあります。音も本当
に素晴らしい!!近々このコーナーでも音を再生出来る様にしたいと思います。
「♪三線の音を聴く」mp3[1.2MB]
てっちゃん:『9万かぁ・・。』
僕:『高いと思う?』
てっちゃん:『いや、自分が一番ピンと来たモンが正解やからな。ええんちゃう?』
僕:『楽器とか人とかとの出会いって、一期一会やからね。お金の問題やないよ。』
吉川さん:『そうですよ。このクラスの物になると一生モンで使えますからね。ギターで言えばフェンダーのマスタービルダー物くらいのグレードですよ。』
まぁそれほどのグレードのシロモノかどうかは別として、マスターやその他のうちなんちゅの人に言わせれば『きゅっ、9万円!!?地元の人だったら間違いなくそんな
高いやつは買わないよ!』と言われてしまいました。そりゃそうでしょう・・・。
三線って沖縄ではもっと生活に密着した物であるし、そんな高い物であれば気軽に使えないでしょうしね。いいんです!どうせ僕は楽器コレクターですから!(プレイヤー
じゃないのか?)
そして僕は9万円の三線を抱え、国際通りを歩きます。つい数時間前まではどれも同じに見えた土産物屋さんに並んだ三線でしたが、今では作りの善し悪しを判断出来るまでになりました。
まぁそれでも僕のこの三線ほど美しい物は当然見当たりませんが・ ・。
そしてOLEっち寮に帰れば案の定・・・
入木さん:『えぇ〜〜〜、フクちゃんやっぱり三線買ったんだ。それピックアップとか付いてるの?』
僕:『いいえ。別
にライブで使う訳じゃないし・・。』
入木さん:『バンドで使えないなら意味ないじゃん!そんなモンいくらくらいしたの?
』
僕:『何で値段の事を聞くんですか?別
にいいじゃないですか!』
入木さん:『またどうせ2万円くらいとかしたんじゃないの?信じらんねーよ!』
僕:『残念でした!9万円ですよ〜〜だ!』
入木さん:『きゅきゅきゅ、9万!!!?バカじゃねーの?』
まぁこれが一般的なリアクションなんでしょうね。
確かにバカかも知れません。
いや、 バカなんでしょう。まぁでも僕はそんなバカな自分が好きだったりします。
平成17年3月11日 福田悦隆
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